ニッカド電池の話
投稿者:MARK12さん

[バラのニッカド電池の多数個使用が推奨されない理由]
ニコンF2やキヤノンNEWF−1などの外付けモータードライブの電源には、
専用のニッカド(Ni-Cd)電池パックや電源も用意されていました。
しかし、これらの専用ニッカド電源は製造中止で現在では新規入手は絶望的です。
そこで、単3電池仕様パックのものについて、マンガン又はアルカリマンガン単3
乾電池の替わりに単3型ニッカド電池を使用できないかという考えが起こります。
(注:ニコンF2用モードラMD−1又は、MD−2に使用するバッテリーパック
MB−1では10本、MB−2では8本。又、キヤノンNEWF−1用モードラFN
用の単3電池パックでは12本の単3電池を直列接続で使用)。

ストロボとかワインダーのように単3電池を4〜6本程度使用のもでは、単3ニッ
カド電池の使用が可能な場合も多いですが、単3電池を8本〜12本も使用するよ
うなモータードライブ用電源などの取扱説明書に単3型ニッカド電池は使用不可と
書かれていたり、メーカーに問い合わせても不可又は推奨出来ないという回答が
ほとんどのようです。何故なのでしょう?
主な理由は、安全性にあるようで、多数のニッカド単3電池をバラ状態で直列に使
用するのが一番の問題点のようです。

<ユーザー側でのニッカド単3電池の多数個使用が推奨されない理由>
1.電圧の問題ではない
キヤノンNEWF−1のモータードライブFN用の電源を例にすると、
バッテリーパックFN :単3乾電池12本・・・・1.5V×12本=18V
Ni-CdパックFN :単5Ni-Cd二次電池12本内蔵・・・・1.2V×12=14.4V
ハイパワーNi-CdパックFN:単3Ni-Cd二次電池12本内蔵・・・・同上14.4V
ニッケル系二次電池の起電力は化学的に決まっていて、公称1.2Vです。
マンガン系一次電池の公称1.5Vに対して電圧では劣りますが、電池の内部抵抗が
低く、より多くの電流が流せます。電力は、電圧と電流の積ですから、電圧が多少低
くてもパワーの面では遜色ない場合が多いのです。
最新のAF一眼レフに使用される充電可能な二次電池に、リチウム系でなくニッケル
系のニッケル水素電池内蔵パックが使用されているのも、その電池の内部抵抗の低さ
からリチウム系よりも瞬間的な大電流が取り出し易いからです。

2.放電特性上の問題が大きい
ニッカド電池は、内部抵抗が小さいので大電流の放電が可能ですが、接続回路の負荷
状況などで流れる電流が、非常に大きくなる場合があります。又、何らかの理由で
回路の抵抗値が極端に小さくなったり、ショートしたりすると導線を焼損したり回路
部品を破壊する可能性もあります。又このような状況や過負荷の状態が続くと電池が
発熱して危険な状態になることも考えられます。
ニッカド電池等を使用する場合は、上記のような場合に電流を遮断できる保護回路を
直列に接続してをおくことが必要です。ニッカド電池内蔵の電池パックでは、この保
護回路が当然有りますが、マンガンあるいはアルカリマンガン電池使用が前提の電池
パックでは、この限りではありません。

2.使用される電池の不確定性と電池の劣化
ニッカド素電池が内部に組み込まれた密閉型のパック電池なら、同じメーカーの同じ
種類の電池が固定的に組み込まれていて、同じように充放電を繰り返されるからよい
のですが、ユーザー側でバラ状態の単3型ニッカド電池を多数使用する場合は、同じ
種類の同じ品質(新旧)の同じような充電容量の電池が必ず組み込まれるまれるとい
う保証はないわけです。容量が大きく異なるニッカド電池を組み合わせて使用すると
先に放電した電池が他の電池で充電されて電池の性能を劣化させるという問題もあり
ます。

通常のマンガン系の乾電池でも、新旧の電池を混ぜたりせずに、同じ種類の新しい
電池に全部入れ替えるように推奨しているのも似たような理由によるものです。
電池が直列接続の場合、性能が劣化した電池が1本でも間に挿入されると電池本来の
性能が引き出せなくなります。

バラ状態の単体ニッカド電池を多数本使用する場合は、メーカー側の推奨が得られな
いものについては、ユーザー側の自己責任に於いての実施が必要です。
但し、上記で述べたように実行には危険が伴いますので、十分な注意が必要です。

  戻る