ニコンFE修理雑記
投稿者:MARK12さん

・購入経緯
私にとってニコンF2の10台目となるF2ボディを買う時に、同じ委託品のコーナー
に並ぶFM/FE群の中で「部品取り」のタグを付けた1台のFE黒が目に止まった。
ジャンク品と納得するような程度だが、4000円という価格と付いていたある部品が
気に入ってF2と一緒に買ってしまった。
ある部品とは大したものではないが、私にとってはコレクション用F2の大事な小物パ
ーツである。

・修理経緯
購入したFE黒の外観は、上カバーの両肩などにへこみはないが、アクセサリーシュー
下部と接眼窓の間のカバーに変形(へこみ)がある。シューにクリップ オン ストロボ
を付けたまま、ぶっつけでもしたのであろうか。シュー周りのペンターカバー部が変形
したカメラは以外と多い。ほとんどのカメラのシューは、カバーにネジ止めされただけ
なので、負荷がカバーに集中する。注意が必要だ。
カメラの顔の一部とも言うべきペンタ部の前面にも多少のへこみがある。ここはカバー
を外した際に軽く叩き直して目立たないようにした。

裏蓋は、へこみや大きな傷などはないが、外縁部やメモホルダーの金属枠(黄銅製)が、
擦れて見事に塗装が剥がれている。裏蓋だけ別のFEかFMのものに取り替えたのかも
しれない。裏蓋は、一般の金属製カメラと同様に鋼板(鉄)だと思うが、塗装が完全に
剥がれてニッケル・クロムメッキ面が丸出しの部分でも、全く錆が発生していない。
ニコンのS、F〜F3などの軽合金製の裏蓋なら鉄錆が出ないのは判るが、鉄製のこれ
だけ擦れた裏蓋で錆が出ていないのは立派だ。下地処理が優れているのだろう。
裏蓋は後日、補修塗りするつもりだ。裏蓋内部や付いている圧板などは良好だ。

外装部品に関しては、巻き戻しノブにクランクが付いていない。ELやFM/FE系の
ノブは、ボディにノブを取り付けた状態でクランクを固定し、テンションを与える方式
なので、外してしまうとクランクや差込ピンなどがノブから脱落する。注意すべき点だ
ろう。クランク、ピンや押さえの板バネ等は完全ジャンク品のニコマートELから移植
した。ピッタリだ(ノブ本体の形状は違うが、他のパーツはほとんど同じ)。
ところでバッテリーチェック操作/表示部のスイッチに通常付いている回転用突起が
このFEには無い。FEにはバッテリーチェック部が違う初期型とかあったかな? 

肝心のカメラの作動だが、電池を入れてもメーターは全く作動しない。どのシャッター
速度にしてもメカ作動の1/90秒(M90)になる。通電していない感じである。
しかし、本来メカニカル制御である筈のバルブも1/90秒になってしまう。
メカ系にもちょっとした不具合があるようだ。
おまけにマウント周りにある露出計連動レバーが、途中で引っかかってほとんど回転しな
い。これではAi方式のレンズはリングのレバーを倒さないと取り付けられない。
マウントを外して連動リング部をチェックしてみたが、FEもF3と同じくレバーの回転
を、ひもと滑車を使ってボディ側のフィルム感度設定部に伝える方式のようだ。
連動レバー側のトラブルではなくボディ側の連動部が引っかかっている感じだ。とにかく
上カバーを外してみないと始まらない。

分解して解ったのは、感度設定ダイヤル部にある金属皮膜抵抗体(FRE)の連動ギア
と露出計連動レバーの絞り値を伝達するギアが正常な位置でかみ合っていないこと、
スライド式接点なども正常に接触せずに導通していないことなどだ。
どうも前の持ち主が、分解を途中までやって戻したような気配が濃厚だ。巻き戻しクラ
ンクが無いのも、部品を紛失したか他のカメラに流用したのではないだろうか。
とにかく露出計は復活し、AE作動もOKとなった。ただし、Bは不良のままである。
底カバーを外し、底部の機構の作動チェックと清掃のついでにバルブ作動不具合の原因
を探ってみたが、私の未熟な知識と経験では判明しなかった。
今のところこれ以上分解する気は起きないので、先での課題とする。

ミラー部のモルトプレンは、ほとんど欠落していたので、残滓除去、清掃後にニコン純
正のモルトを貼った。ついでにスクリーンも洗った。スクリーン交換式はやはり便利だ。
手持ちの予備のFE用スクリーンもあるが、まだ使えそうなので元のものを使うことに
した。
外観に関する限り、私が所有しているカメラの中では、最も酷い?カメラの一つかもし
れない。擦れたカメラも風合いがあるとする意見もあろうが、上カバーと裏蓋の擦れ具
合がアンバランス過ぎると思うので、少なくとも裏蓋は補修塗装をするつもりだ。
ついでに上カバーの細かい擦れも補修塗装してしまうと思う。

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